【質問】 ラスタって何?
「ラスタ」って何? ということだけど、これはレゲエ・ミュージック並びにジャマイカン・カルチャーを理解するのにかなり重要な要素。じっくりと話を進める価値がある。
簡単に記述すると…
ラスタというのは宗教で、ラスタマンというのはそのラスタ信者のこと。
そしてその語源は「ジャー・ラスタファリ」という現人神の名前から来ている。
その現人神の本名というか実名はハイレ・セラシエ。彼はエチオピアの皇帝だった。
なぜエチオピアの一皇帝がジャマイカで神と崇められたのか?
どうしてそんな宗教がジャマイカに生まれたのか?
レゲエとの関わりは?
なぜ「ラースタファーライ」などと口走る日本人が出てくるのか?
まずは語句説明から。
1930年にエチオピア皇帝の座についた人物がラス・タファリ。
彼は即位に際してハイレ・セラシエと名乗ることになった。
ジャーというのは「神」と同義語。よく唱えられる「ジャー・ラスタファーライ」という言葉は「神であるセラシエ皇帝」ということ。
ジャーの語源は「絶対神エホバ(Jehovah)」から来ている。
英語圏の歌でよく使われる「God」「Lord」「Jesus」と同じようにレゲエの歌詞では頻繁に登場。ボブ・マーレー[7]「KEEP ON MOVING」でも、70年頃には「Lord, I gotta keep on moving」だった歌い出しがその後「Jah, I gotta keep on moving」に替わっていたりする。
とにかくジャーというのは重要な言葉のため、「Jamaica」を「Jahmaica」、「soldier」を「soul-jah」などど表記したりすることもある。
わが日本も「Jahpan」である、ということでなんだかリスペクトされたりもする。
「ラスタファリ」を「ラスタファーライ」と読みかえるのは、ラスタの間では「I」という言葉が重要だから。
彼らは例えば「You & I」という言い方をしない。また「We」という言葉も使わない。
代わりに使うのが「I & I」である。
これは“人類みな兄弟”にやや近い概念とでも言えばいいか、自己と他者に明確な区別を設けない姿勢からくるもの。
だから、“愛に満ち溢れた状態”を「One Love」と表現するのである。
また、ハイレ・セラシエ“1世”であることから、「1」を「I」と読みかえて、「セラシエ・アイ」さらに「セラシアイ」と呼ぶのが最もポピュラー。
そうすると、「ジャー・ラスタファーライ、セラシアイ」と韻を踏める。
ちなみに、エチオピア皇帝のことを「ニガス(Negus)」という。
Ras Michael & The Sons of Negus というグループ名はラス・マイケルと皇帝の息子達、という意味になる。
また、セラシエは「King of Kings」「Lion of Judah」という称号も持っており、故にこれらの言葉がちょくちょくレゲエの歌詞に出てくる。
よくレゲエ・レコードのジャケットにライオンが登場するのも、ルーツはここにある。
ラスタ思想のこと。
ラスタファリアニズムを信じ、ラスタの生活を実践する人。
本来ラスタファリアンと同義語だが、現在は拡大解釈され、ジャマイカ人、ドレッドの人、レゲエっぽい人、赤黄緑の人、などなど、気軽に呼ばれてしまう。
上記3つの言葉すべての代わりに使われる。
このように、ラスタという言葉はかなりカジュアルになってきている。
が、しかし、あくまでも一宗教の大切な言葉である、ということを忘れない方がいい。
よくファッションで「ラースタファーライ」などとジャマイカ人に向かって言っている日本人がいたりするが、いかがなものか。
ジャマイカ人も慣れっこになっているので問題は起こらないが、個人的意見では、「リスペクト」や「ワン・ラヴ」の方がリアリティがあっていいと思うのだが…。
ジャマイカ人にいきなり「南無阿弥陀仏」とか言われてもうれしくないでしょ。面白いけど。
というわけで・・・続く。
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