さて、今回はスカ~ロックステディ~アーリーレゲエというエキサイティングな変化を遂げた、60年代のジャマイカ音楽を体感できるオススメCDを紹介します。
まずはUKのレーベル「TROJAN」ものを。
このレーベル、60年代からイギリス向けに良質なジャマイカン・ミュージックをリリース。
当時のジャマイカ音楽ビジネスはムチャクチャいい加減(今もか)だったので、楽曲のクレジットミス、レコードの音質の悪さ(LP盤の場合、マスターテープからではなくシングル盤から音を起こしたりするので、ノイズがひどいのはもちろん、曲の頭が切れていたりということも日常茶飯事)などなどずさんなレコード&CDが多い。
それに比べてトロージャンものは安心できる。中身の方も、いい曲が揃っている。
ジョン・メイオールの息子でスカ・リヴァイヴァルの立役者、 ギャズ・メイオールはこのレーベル名に由来したバンド、ザ・トロージャンズというのを組んでいるほど。
そんなわけで、スカ~ロックステディ~アーリーレゲエという時代の音が欲しければ、まずはトロージャンのコンピ盤を探してみることをおすすめする。
かつて「20 REGGAE CLASSICS」シリーズなど、様々な企画のコンピ盤を出していたが、現在はジャンル別ボックスセット・シリーズに再編されており、わかりやすい。
これらの基本的コンピ盤で曲名やアーティスト名をなんとなく覚えたら、そこから辿って別のトロージャンものに手を出してみるのがいい。大外しはしないはず。
ロード・タナモ「I'M IN THE MOOD FOR SKA」、ジミー・クリフ[8]「MISS JAMAICA」、ローランド・アルフォンソ「PHOENIX CITY」、ジャスティン・ハインズ&ザ・ドミノス[9]「CARRY GO BRING COME[10]」など、スカの定番曲を多数収録。
とは言いつつも、パラゴンズ「THE TIDE IS HIGH」のようなロックステディが入っていたり、エチオピアンズ「TRAIN TO SKAVILLE[11]」のようにアーリーレゲエに片足を突っ込んでいるようなスカも入っていたりする。
そのものズバリ、アルトン・エリス[14]「ROCK STEADY」から始まるロックステディ・コンピ。
パラゴンズ「ON THE BEACH」、デリック・ハリオット「THE LOSER」、フィリス・ディロン「DON'T TOUCH ME[15] TOMATO」などの胸キュンソングを収録。
エリック・ドナルドソン「CHERRY OH BABY[18]」、トニー・トライブ「RED RED WINE[19]」、メロディアンズ「RIVERS OF BABYLON」、ケン・ブース[20]「EVERYTHING I OWN[21]」、ダンディ・リヴィングストン「RUDY, A MESSAGE TO YOU[22]」など、UB40、スペシャルズ[23]、ボーイ・ジョージなどによってカバーされた曲を集めたもの。
スカ~ロックステディ~アーリーレゲエの流れを一挙に追うことができる。
次は重要アーティストものを2枚。
FOUNDATION SKA / THE SKATALITES [HEARTBEAT]
スカ黄金期のスカ代名詞的バンド、スカタライツの代表曲&レア・トラック集。2枚組。メインはインスト曲だが、シンガーをフィーチャリングしたものも何曲か収録。例えばウェイラーズとか。
「CHRISTINE KEELER」「OCCUPATION」「NIMROD」など収録。
スカってどんなの? 有名なスカタライツってどんなバンド? このような問いにはこのアルバムが最適。
ちなみにスカタライツは何度か再結成しているので、いろんな年代の音源がある。オーセンティック(=カッコいい)なものから入った方がいいに決まっているので間違えないように。
ONE LOVE[30] AT STUDIO ONE / BOB MARLEY[27] & THE WAILERS [HEARTBEAT]
ウェイラーズの最も初期、スタジオワン時代の音源集がコレ。2枚組。
時代はスカ。当然スカっぽい曲が多数。あの「ONE LOVE[30]」も随分激しいスカでビックリするかも。
勢いのあるスカ・チューン「SIMMER DOWN[31]」「LOVE AND AFFECTION」の若々しさといったら!
その他に発見することが2つ。意外とドゥーワップ、リズム&ブルース、バラードといった曲調の曲が多いこと。彼らのルーツが垣間見える。もう1つ、一応ボブが中心ではあるが、ピーター・トッシュ[32]、バニー・ウェイラーとのコーラストリオという側面が非常に強いこと。
この後、ルーツレゲエ、インターナショナルレゲエなどなどレゲエの発展形の最先端を突っ走って行くメジャーなグループだけに、比較対象として草創期の音に触れておくのは悪くない。
付け加えておくと、この「HEARTBEAT」というレーベル、スタジオワンとライセンス契約しているアメリカのレーベル。
ここで紹介した2枚は、どちらもスタジオワン音源。スカ~ロックステディ時代の最重要レーベルなので、スタジオワンという名前も覚えておいたほうがいい。コンピ盤もたくさん出ている。ただ、トロージャンに比べると、けっこういい加減な盤も少なくないので注意が必要。
ハートビート経由のスタジオワンものは大丈夫だけど。
以上、少ないけど、まあ入口はこんなもんでしょう。
他にも似たようなコンピ盤は多数あるので、いろいろ冒険してみましょう。冒険が嫌いな人は上記5タイトルからね。
次回はラスタに突入!
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